『Das Leben der Anderen』(The lives of Others、2006年、ドイツ、1/27/07)
昨日、Santa Barbara International Film Festivalで見ました。
舞台は80年代前半の東ドイツ。市民の思想を監視する体制がしかれていた頃の話です。秘密警察のWieslerは、劇作家Dreymanとその恋人 Christaの生活を盗聴するうちに、Christaへの想いを募らせていきます。しかし、Dreymanが匿名で東ドイツの体制を批判する記事を発表したことから、Christaは取り調べの対象になり、厳しい取り調べと自分の将来への不安から、ついにDreymanを裏切ってしまいます。そして Wieslerも職務を忠実に遂行するか、 Christaを救うか…という辛い選択を迫られます。
Dreymanのアパートに捜索が入り、 Christaは愛する人を裏切った自分を責めて外に飛び出し、車に飛び込んで死んでしまいます。ところが、Dreymanが隠していた、反体制記事を書いた証拠となるタイプライターは見つかりませんでした。直前にアパートに忍び込んだWieslerがこっそり処分していたのです。体制への裏切りを疑われ、郵便物仕分け係へと左遷されるWiesler。
そこに「ベルリンの壁崩壊」のニュースが。Dreymanは旧政権が自分を監視した記録書類を閲覧しに行きます。そこには自分の生活を克明に記録した膨大な文書がありました。「これだけの監視の下で、なぜ反体制の記事のことが出版前にばれなかったのか…」疑問に思うDreymanですが、捜索が入りChristaが死んだ日の書類を読んで全てを悟ります。そこには隠していたタイプライターの赤いインクリボンのしみが…。監視を行っていた人物が、実は自分を救ってくれた…Dreymanはその監視者がWieslerであることを突き止め、遠くから、すっかり落ちぶれた彼の姿を眺めます。
今は郵便配達をして生計を立てるWiesler。ある日本屋のウィンドウにDreymanの大きな写真を見つけます。本屋に入り、彼の新著を手にするWiesler。本の最初には自分がスパイだった時の暗号名で、「この本をHGW XX/7に捧げる」と記されていました。「贈り物ですか」と聞く本屋の店員に、Wieslerは「これは自分のために」と誇らしげに答えるのでした。
2時間を超える長い映画で、しかもドイツ語に英語字幕という、私には苦しい条件でしたが、途中からそんなことを全く忘れてのめり込みました。