『Driving Lessons』 (2006年、イギリス、7/11/07)
Ben を演じているのはHarry PotterシリーズでRonの役をしているRupert Grint。これ以外の作品を見るのはこれが初めてです。気の弱そうな高校生をとても自然に演じていて、とてもよかったです。Evie役のJulie Waltersは気難しい初老の女優役がぴったりでした。コミカルな中にも、Benの思春期ならではの悩みなどが描かれていました。また、Benと Evieの世代を超えた友情(ひょっとして恋愛感情?)も、なかなか味がありました。(★★★★☆)
(あらすじ)
17歳のBenは父親が神父、母親が敬虔なクリスチャンという家庭に育ちます。神を信じ、詩を愛する気のいい男なのですが、高校の女の子達や憧れのSarahには変な奴だと思われています。運転免許を取るために母親と練習をしているのですが、なかなか合格できません。実は、母親LauraはBen との運転の練習を自分の浮気相手の神学生に会う時間を作るための言い訳に利用していたのです。Lauraは夫との結婚生活に不満があるのですが、そんな不満を表には出さず、教会の行事などにむしろ積極的に参加しています。また、家庭内では細かいことについて、夫やBenをコントロールすることを不満のはけ口にしているのです。Benはそんな母親にうんざりしていますが、母親との対立を避けているのでした。
Benの家に妻を車で轢いて死亡させてしまった男Mr. Finchamが居候することになったため、母に言われて夏休みのバイト代を家の生活費に寄付することになったBenは、Evie Waltonという女優の身の回りの世話をする仕事を始めます。Evie Waltonはかつてはsoap operaで有名だった女優ですが、今は年をとり引退したと思われています。なかなかエキセントリックはEvieの性格に始めは戸惑うBenですが、やがて友達のように親しくなっていきます。
しかし、Benの母親Lauraはその関係に嫉妬します。Lauraに反対され一度は諦めたEvieとのキャンプですが、BenはEvieに無理矢理連れ出されてしまいます。しかもEvieは車のカギを飲み込み、「これが出て来るまでは家に帰れないわね」と言います。母親が怒るのを気にしながらもBenはキャンプを楽しみます。そして翌日、家に戻ろうとするBenだったのですが、Evieが癌で余命が短いと知らされ、彼女の助手としてエジンバラに向います。エジンバラでは詩の朗読会があり、Evieはそれに招待されていたのです。しかし、長い間パフォーマンスをしていなかったEvieは自信がありません。「Benがいてくれたらできる」と言うEvieに、絶対にそばにいると約束するBen。しかし、朗読会の世話係をしているChandraに誘われてディスコに行ったBenは成り行きで彼女と初体験をし、そのまま彼女のアパートに泊まってしまいます。約束の時間に現れなかったBenを残し、一人で朗読会に臨んだEvieですが、緊張のあまり詩が思い出せません。Benが駆けつけた時にはすでにEvieの朗読は悲惨なことになっていました。
Benは最後に立派なパフォーマンスのチャンスを…と別の朗読会に出るチャンスを作りますが、Eivieは頑なにそれを拒みます。そして、癌のことは作り話だったと打ち明けます。激怒するBen。そして、Eivieも「約束を破ったのは誰なの?」と言い返し、二人の間には険悪なムードが漂います。何とかロンドンに戻った二人ですが、Lauraは予想通り怒り狂い、Benが再びEvieに会うのを反対します。訪ねて来た Evieにも嘘をつき、追い返すのでした。
母親の手伝いで参加している教会の劇の発表会の当日、Benは母親が自分からEvieを遠ざけたことを知ります。劇の途中でステージから急に立ち去り、Evieの家に向うBen。ドアを閉ざしていたEvieですが、遠ざかるBenを追って、教会に向います。
ステージに戻ったBen。劇は終盤になり、神が現れるシーン。そこにEvieが突然登場します。劇に登場する神だと勘違いした観客は、Evieが大声で語る言葉に酔っていきます。Benを教会の外に連れ出すEvie、それを追うLauraと観客達。止めようとするLauraにBenは初めて歯向かいます。驚く観客達。そして、そこに車を運転したMr. Finchamが突っ込み、Lauraは病院に運ばれます。夏が終わり、BenはEvieの家を訪ねます。Benは将来はエジンバラの大学に進学し、英文学を学ぶことに決めたとEvieに告げます。Evieの家を去り、一人歩くBen。気の弱かった少年はこの夏大人になったのでした。