『Mon meilleur ami』 (My Best Friend、2006年、フランス、4/10/08)
「親友と呼べる人はいますか」と聞かれたら、誰でも「もちろん」と答えてしまう、いや、答えたいのだと思います。でも、親友って自分の「片思い」(?)じゃだめで、相手も同じように思ってくれていなければいけないわけで、そうなると「親友である」ということを証明するのはなかなか難しいのかも…。そんなテーマのフランス映画です。いい年をしたオヤジが親友を求めて奮闘するところが、滑稽でもあり、悲哀を感じさせたりもするのでした。(★★★☆☆)
(あらすじ)
アンティークを扱う美術商のFrançoisは、共同経営者のCatherineが止めるのも聞かず、あるオークションでギリシャのつぼを競り落とします。その晩、食事の席で「親友はいるの?」とCatherineに聞かれたFrançoisは「いるに決まっているじゃないか。賭けようか?」と自分から持ちかけ、もし10日以内にFrançoisが親友がいることを証明できなかったら、せっかく競り落としたつぼを取られてしまうという賭けを始めます。しかし、仕事一筋で自分勝手なFrançoisには友人と呼べる存在はいませんでした。知り合いの中からリストを作り、わざわざ会いに行くFrançoisでしたが、相手には金を無心に来たのかと疑われたり、煙たがられたり…。
そんな時、偶然知り合ったタクシー運転手のBrunoが、道行く人と自然に親しくなるのを見て、Françoisは「親友作り」の指南としてBrunoを雇います。Brunoはテレビのクイズ番組に出ることを夢見て、日々情報収集に明け暮れているのですが、あまりにも緊張しすぎていつも予選落ちをしています。人のいいBrunoはFrançoisにどうやったら社交的になれるか、あれこれトレーニングをしてくれます。そんなことをするうちだんだん親しくなり、二人は本当に友達のようになっていくのでした。
しかし、Catherineに「親友っていうのは、自分のために犠牲を払ってくれる存在よ」と言われたFrançoisは、Brunoが自分のために無理をしてくれるところを見せようと、ありもしない話を持ちかけます。それは、自分の商売が今大変なので保険金詐欺をするために部屋においてあるつぼを盗み出してほしいというものでした。何も知らずに泥棒のふりをしてFrançoisのアパートに忍び込んだBrunoは、自分が一杯食わされたことを知りショックを受けます。実は、Brunoには信じていた親友に妻を取られてしまったという苦い過去があったのです。信じていたFrançoisが自分を利用したことを知りショックを受けたBrunoは部屋にあったつぼを粉々に割って去っていきます。Catherineに「ようやく見つけた友達だったのにもうなくしてしまったのね」と言われ、自分がしたことの愚かさに気がつくFrançois。
大金をはたいて買ったつぼもなくし、経営が苦しくなったFrançoisは、責任を取って自分の経営権を全てCatherineに譲ることを決めます。そんな時、Catherineに割れたつぼはレプリカだったことを知らされ、無事だった本物のつぼを再び手に入れます。Françoisはそのつぼを、前から譲ってくれと頼んで来ていたテレビの社長に贈り物として届け、その代わりにBrunoをクイズ番組に出してもらえるように手を回します。何も知らずに番組に出演したBruno。億万長者になるための最後の問題は、美術に関する質問でした。答えに迷ったBrunoは最後の手段としてFrançoisに電話で答えを聞きます。それが正解で、億万長者になるBruno。しかし、彼とFrançoisの間の溝は埋まりません。
そして1年。すっかり人が変わって仲間に誕生日を祝ってもらっているFrançoisは、同じレストランの片隅にBrunoがいるのを見つけます。実はFrançoisの娘がこっそりBrunoを呼んでいたのです。二人はようやく仲直りし、Françoisは生まれて初めて親友と呼べる存在を手に入れるのでした。