『Pierrepoint』 (The Last Hangman、2005年、イギリス、4/20/08)
実在の人物をモデルにしたストーリーです。
死刑執行人Albert Pierrepointが時代の流れに翻弄されながらも職務を全うしていく話です。「死刑になった時に罪人は全てを償うのだから、苦しまずに死なせたい」という彼の信念、死者に対する畏敬の念など、仕事に誇りを持っている「職人」の世界を感じさせる映画でした。(★★★☆☆)
(あらすじ)
生活雑貨の配達で生計を立てる冴えない中年男Albert Pierrepointは、かつて父もしていた死刑執行人の職を得ます。死刑執行を知らせる手紙が届いた時に、各地の刑務所を訪れ、淡々と仕事をこなしていくAlbert。死刑囚を一目見て体重や体格などから絞首刑に使うロープの長さをすばやく計算するAlbertは、死刑囚にできるだけ速やかに苦しませることなく死を迎えさせてやるという信念を持つ職人です。妻や友人にも自分の仕事は何かを告げることなく、地道に仕事を続けています。しかし、第2次世界大戦が終結し、ドイツの戦犯を処刑する必要に迫られた時、イギリスの軍上層部はAlbertの職人技に目を留めます。招かれてドイツを訪れたAlbertは、大量の戦犯を一度に処刑するという普段とは違った仕事を精一杯こなしますが、その仕事ぶりは新聞で報道され、戦犯を処刑した「英雄」として注目を浴びることになり、これまで密やかに暮らして来たAlbertは戸惑います。時代は徐々に変わり、死刑に反対する運動も起こるようになり、Albertは試練を迎えます。そんな時、長い間親友だった’Tish' ことJamesが三角関係のもつれから女を殺し死刑を宣告されます。そうとは知らずに死刑執行を依頼されたAlbert。Tishに「ありがとう」と言い残し、静かに死刑場に向かい、刑を執行したAlbertはそのことに苛まれます。死刑反対論が高まる中、Albertは引退を決め、田舎へ引っ越していくのでした。