『Music Within』(2007年、アメリカ、6/8/08)
障害者を支援する法律作りのために奔走したRichard Pimentelが主人公の実話に基づいたストーリーです。彼自身もベトナム戦争の爆撃がもとで高度の難聴になるのですが、障害者が社会参加できるようにと各地でセミナーを開き、障害者の雇用先を開拓し、バリアを無くすために人生を捧げます。ストーリーは素晴らしいのですが、Richardの障害の深刻さが全然見えて来なかったのが残念です。確かに現在の彼は障害を克服し、言われなければ周囲は難聴だと気づかないような状態なんだと思いますが、そこに至るまでの苦悩などが全く描かれていないので、軽い印象を受けました。それよりは、彼の友人Artが小児麻痺の後遺症や周囲からの差別と激しく闘う姿の方に心を打たれました。(★★★
1/2☆)
流産を繰り返した末に誕生したRichard Pimentel。しかし、実母は彼が無事に生まれたと言う現実が飲み込めず、Richardは複雑な事情の下で育ちます。中国系移民の父親だけが心の支えでしたが、父は早くに亡くなり、Richardは苦労します。ある日、学校でスピーチをしたことがきっかけで、スピーチにのめり込んだRichardはその特技を使って大学に入るための奨学金をもらおうとしますが、弁論指導の教授にスピーチしている内容に思い入れがないことを見抜かれてしまいます。ベトナム戦争に志願することで、除隊後の奨学金を手に入れようと決めたRichardは危険を顧みずにベトナムに赴き、爆撃によって聴力をほとんど失います。除隊され大学に進学しようとした時には、その障害を理由に奨学金の支給を断られてしまうのでした。何とか大学に潜り込んだRichardは、難聴が理由でなかなか友達もできずに苦しみます。しかし、カフェテリアで知り合った小児麻痺の後遺症を持つArtと知り合ったことから、彼の世界は変わっていきます。唇の動きを読んで人の話を理解できるRichardは障害を隠して保険会社に就職し、それなりの収入を得るのですが、自分と同様に軍を除隊になった仲間が失業して惨めな生活をしているのを見て、人材派遣の会社を立ち上げるのでした。その事業も順調に行き出したある日Artが障害を理由にパンケーキ屋への入店を断れたことをきっかけに、Richardは障害者を助けるために運動を始めます。それから20年、彼の働きは実を結び、障害者への差別をなくし、社会参加を助けるための法律が可決されるのでした。そして、RichardとArtは、かつて入店を断られたパンケーキ屋で、パンケーキを食べてその成功を祝うのでした。